先週の今頃は足摺岬から帰っていた頃。
その日は28度くらいあって暑かったのに、今日は一日中雨で16度で寒い。
さて、小雪のちらつく夜更け、大坂の南部藩蔵屋敷に瀕死の状態で新選組「吉村貫一郎」がたどり着くところから始まる浅田次郎さんの「壬生義士伝」。
先にも書いたけど百田尚樹さんが「永遠の0」を書くにあたって「こういうのを書きたい。」と思われた本です。
確かに、いろいろな関係者を廻ってある人物について聞き取り、その人の人となりを露わにしていくというところは、とてもまっすぐにインスパイアされてますね。
しかし、「永遠の0」も泣いたけど、これはそれを上回る感動作でした。
先日、お祭りに小豆島への往復のフェリーの中で読んでいたんだけど泣けて泣けて仕方ない。
あんまり衆人環視の中で読むものではありませんね。
「義によって生き、義によって死ぬ」。
まさに男の中の男の物語です。
それだけは無く、友情、家族愛が非常に美しく哀しく丹念に描かれていて「浅田次郎ってよくこんな物語を思いつくよなあ・・・」と感心します。
新選組については、官軍側からだとだいたいあまりよく書かれていないことが多いし、逆に悲劇のヒーロー的に祭り上げられることも多いけど、これを読むと一概にそうでもないなあと思う。
これを読んでから大河ドラマの「八重の桜」を見たら面白かったかも。
そして、会津の人達が今でも九州の人間を許していないというのもわかる気がする。
浅田次郎さんの作品はけっこう読んでいるのに、これを今まで読んでなかったのが悔しい。
最後の主人公の友達が主人公の次男を最も信頼できる人物に託す手紙は読んでいる僕も手が震えました。
これも本当に本当に美しい物語です。
今年読んだ本で最高のお話でした。